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第2話【武田】

[2012/02/10]

メンバー4人がリレー形式で小説を書いていくというこの企画。第2話は武田和也(B)がつづります。

 

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蠣崎 康太

 

 

けたましい叫び声と人間が激しく動く気配で、目が覚める。

これが、21年続く、俺の朝。

いいかげん、何で?って思うんだけど、大人はそんな簡単には、変わらないみたいだ。

 

金と女、昔からの、大体の議題

 

聞きたくないんで、足早に風呂に入って、朝食を目一杯素早く食べて、家を出る。

お袋はそんな自分を気遣ってるみたいだけど、ま、しゃーないよね。

前に、何故別れない?て聞いたら、あんたの為にって、、、どうしようもない。

 

でも、もういいんだ。

これが、おそらく実家で迎える最後の、朝。

 

新居っていってもボロボロのアパートだけど、とりあえず俺の安息の地。

本日から、新生活スタート。

なんせ学生なんで、借りるの大変だったけど、バイト先が、良かった。

地元ではあまり数が少ないバーで、週末なんかは、激混み。

ある日、店を閉め終わって、マスターが一杯付き合わないかって誘ってくれた。

狭い店だから、大体俺か翔か、どちらかが、ラスト。

その日は暇だったし、翔は今日は野暮用があるってんで、マスターが、上がらせた。

ま、野暮用っていっても、どうせ、女だろ。

なんか、明日彼女の誕生日って、言ってたっけ。

小さいころからの馴染みらしく、付き合いも長いらしい。

そこそこのイケメンなのに、まじめなんだよなー、奴は。

 

一杯のつもりが、久々にマスターとの酒ってこともあり、もう、4杯目。

学校の事や最近の店の事、あれこれ話していると、マスターが聞きにくそうに、聞いてきた。

 

康太、お前、何か悩んでないかって

 

そらー学生すもん、もう21歳だし、色々と悩みはあるって答えたら

 

「そんなことじゃなくてさ、もしかして、家でなんかあった?」

 

前の日、久々に家に居た親父に、将来どうするんだって聞かれて

「関係ねーだろ、俺がなにやったってよ」

て、返してやったら逆上しやがって。

流れで

「こんな家、いつでも出ていけるんだよ」

て、啖呵切っちゃってて。

 

「いや、言いにくいなら無理しなくて良いんだけどさ、何となく帰りたくなさそうじゃない?」

 

エスパー?てな具合に見抜かれてて、酒も入ってる事と、マスターの柔らかな物腰に、普段は決してしゃべらない家の事情を、話してしまったんだ。

 

マスターは、静かに聞いてくれていた。

自分でも驚くほど色々出てくる愚痴混じりの言葉に、正直びっくりした。

 

俺、結構悩んでる?てね。

 

一頻りしゃべくった沈黙に

 

「で、康太、あてはあるの?」

 

確かに、ほぼ勢いで言っちまった事だったし、何日か泊めてくれる友達や女はいるけど、正直、きつい。

 

「康太が本気なら、何とかしてあげようか?」

 

そう言ってくれた。

 

マスターは、ゲイなんだ。

でも、俺には興味無いって、ちゃんと好きな人いるし、若い子は、もういいらしい。

交友関係は幅広く、お客さんにも不動産関係の常連さんが数人いるから、任せてって。

 

家具や家電を揃えるのは大変だったけど、引っ越しする学友やお客さんに聞きまくって、何とか色々集めた。

贅沢は出来ない、とりあえず、逃げ出したい一心で引っ越しを、急いだ。

 

所属していたテニスサークル、ま、ほぼ名ばかりの飲みサークルなんで気には止めてなかったけど、おのずと参加する回数は、減っていった。

バイトの回数も、増やした。

 

 

 

初めて新居に招く女は、決めていた。

 

いや、本当は、聡美を誘いたかった、真っ先に。

でも、あいつとは、ここ何日か、気まずい。

この前のサークル飲みで、一番学校で仲が良いダチの優輝、そいつの側から全く離れない聡美にマジでイライラして、強引に二人の間に割って入ろうとしたら、物凄い冷めた目で、

 

「なんか、用!?」

 

カウンターパンチを食らって何も言えず、それから、なんだか話しづらい。

 

 

 

バイト先の1つ年下の別の学校の、瑠菜。

実際は俺よりもこのバイト暦は長いんだけど、今では関係値は、俺のが上。

流行りに敏感な、もろ大学生って感じの女なんだけど、人懐っこい性格と可愛らしい笑顔が印象的で、お客さん達にも、人気は、高い。

 

最初はあんまり興味がなかったんだけど、ある日瑠菜のバイトの制服の第三ボタンが取れちゃってて、そこから覗く想像してなかった撓わな胸にすっかり下半身がそそられて。

話しやすいし、何かとノリが合う彼女が、気に入っていた。

 

「カッキーさん、引っ越しするんすーー!?」

「あー、もうすぐな」

「いいなー、一人暮らし、うらやま~~」

「簡単なことじゃねーけど、ま、楽しみだよ」

「ねえ、カッキーさん、今度、遊びにいってよいすー!?まだ、家が、綺麗なうちに(笑)」

「あー、いいよ。なんか土産用意持って来いよ」

 

てな具合に、結構あっさり決まってしまった。

この感じだと、瑠菜も、まんざらでも、ないかな。

嫌いじゃ絶対こんな事、言わないだろうし。

 

下半身に、じんわり違和感を迎えた。

 

 

 

家を出る直前に、親父が、また、噛み付いてきた。

 

「おい、金食い虫!!てめー、そろそろ、家に金入れろよ!!」

 

本当に、こいつどうにかしてやりたい、殺意にも似た感情が込み上げて、ぶん殴ってやろうかと思ったけど、明日から顔を合わせないですむんだって思うと、我慢できた。

 

思いっきり閉めた玄関の扉から

 

「いってらっしゃーい」

 

お袋の声が聞こえて、なんだか、泣けた。

 

 

学校へは、原チャリで、向かう。

股がった瞬間に、瑠菜からメールが、入った。

 

<カッキーさん、確か今日でしたよね!?家、行く約束。

ごめんなさい、やっぱり彼氏、裏切れない。>

 

おいおい、マジかよ。

あんなに盛り上がってたのに、この心変わりは、なんなんだ!?

とりあえず、登校時間も迫ってたし、なんだか返信する気になれなかったんで、乱暴に原チャリのアクセルを噴かして、学校へ急いだ。

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コメント投稿

  • 投稿者:ちゃあさん(2012年2月21日|6:41 PM) 

  • タンさんの話の流れからくると、続きは優輝と一目惚れの女性との恋バナかなと想像していました(^^♪

    しかーし、康太目線のお話がきましたね。イケメン、チャラい?、モテる康太。
    そんな康太が心奪われた女性と優輝との3角関係。始まりますか?聡美の存在も今後どうなるのか気になります。ドロドロですわ〜。胸キュンだけじゃ終わらない小説になりそうですね。

    和也さんのコラムのように、小説の中にも和也さんならではの言い回しが出てきていて、
    読みやすかったです☆

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