[2009/12/02]
愛媛県のとある高校の同級生4人が上京後、結成した4人組ロック・バンド、ランクヘッド。03年のメジャー・デビュー以来、彼らは常に生きることについて真剣に考え、迷いも含めたうえで、その想いを自らの音楽に託してきた。彼らの作品やライヴを通して、その情熱と音楽に向かうひたむきさに勇気づけられたというリスナーもきっと多いはず。7月8日にリリースされた『ATOM』は、結成11年目を迎えた彼らの6作目のアルバムだ。サウンド・エンジニアにBUCK-TICK、LUNA SEA、L’Arc-en-Ciel他の作品で知られる比留間整氏を迎え、完成させられたその新作。アルバムのリリースに先駆け、配信された「それでも血の色は鉄の味がした」「Birthday」「花は生きることを迷わない」を含む全11曲が伝えるのは、ヒリヒリとした感覚を取り戻した前作『孵化』の延長上で彼らが改めて、確信とともに掴みとったランクヘッドらしさだ。新たな10年の第1歩を踏み出したメンバー達にこれまでの10年を振り返ってもらいつつ、新作について語ってもらった(ドラマーの石川龍は欠席)。
―― 今年で結成10年目なんでしたっけ?
小高芳太朗(Vo, G)「10年目が終わりました」
合田悟(B)「11年目ですね」
―― 10年一区切りなんて、よく言うけど、10年目を迎えた時、あるいは丸10年が過ぎた時、そういう意識ってありましたか?
小高「ありましたね」
―― それは新たな10年の第1歩を踏み出すという気持ち?
小高「いや、踏み出すと言うよりは、リアルに10年先を考えましたよ。俺は」
―― あ、10年先を。
小高「ああ、10年こうやって、あっという間にできたから、あと10年ぐらいはがんばれるかなって」
―― この10年間はあっという間でしたか?
小高「あっという間なんですけど、人生の大半がこの10年間で起こったような感じもあって。思い返すと、あれもこれも10年の中にあるんだけど、でも、すごくあっという間のような感じもあって、俺達の間では、早長かったって言っているんですけどね」
―― 早長かった?(笑)。
小高「ホントに早長かったです(笑)」
―― このバンドを始めた時、10年後のこととか、このバンドで10年続けようとか、続けられるだろうなとかって考えていましたか?
小高「考えていましたけど」
―― あ、考えていた?!
小高「はい。考えていましたよ。けど、リアルではなかったですね。霧の中と言うか」
合田「続けばいいかなぐらいですね」
小高「どういうことかわからないんですよね。一歩先がもう五里霧中って言うか。どうやってメジャー・デビューしたらいいかもわからないし、周りはみんな就活しているし、いろいろ考えなきゃいけないことが多すぎて、なんか、もう脳ミソのブレーカーが落ちっぱなしみたいな」
合田「落ちっぱなしって(笑)」
小高「考えようとすると、ああ、わからないやって」
―― ああ。
小高「なんとなく夢見心地と言うか、何もかもが漠然としていましたね。いつか、いっぱいいるお客さんの前でライヴするっていうのも漠然とそうなるだろう、そうなっていくだろうなって思いながら、実はその糸口さえもわからなくて、実際に目に見える範囲の1年後の自分達を考えて、途方に暮れていましたね。どうやって、お客さん増やしていったらいいんだろうって。だから、10年後のことを、漠然とは考えてはいるんだけど、どんなふうに続いているんだろうかってことは全然、想像がつかなかったです」
―― でも、これからの10年を考えた時は、漠然としていた10年前とは違って、まぁ10年やって来たんだから、けっこう具体的なことを考えることができたんじゃないですか?
小高「いやぁ、わからないですよ」
山下壮(G)「意外と五里霧中です(笑)」
合田「常にね」
山下「けど、当時、二十歳そこそこで思っていたこととは、考えることの重みがまたちょっとね」
小高「そうだね、経験値もあるしね」
山下「それは違う気がしますけど」
―― じゃあ、この10年間は目の前の課題を一つ一つクリアしながら、がむしゃらにやって来たと?
小高「はい、常に」
合田「それで気がついたら10年経っていたって感じですね」
―― 10年あっという間と言っていたけど、そのあっという間の中でも辛かったとか、きつかったとかって時期はありましたか?
小高「あったとは思うんですけどね。やっぱり、(石川)龍(Dr)がやめたいやめたいって言っていた頃が辛かったですよね」
―― へえ。それはいつ頃の話ですか?
小高「4年ぐらい前?」
合田「そんな前だっけ?」
小高「だって、3枚目を作る時だもん」
合田「そうか。あれ、そんなに前か」
山下「こういう具合に、あれがもう4年も前なのみたいなことがすごく増えてきちゃって。それで、ああ10年経ったんだなって(笑)。でも、まぁ時間が経つと、いい思い出になったりすることもあるから」
合田「まぁ、そうだね」
―― 石川君はなんで、やめたいと?
小高「最初は肘? 膝?」
合田「肘、肘」
―― ああ、ケガね。
小高「あとヘルニアにもなって。腰を悪くして」
―― ヘルニアに。ああ、それはきついですよね。
小高「一生、ドラムを叩けるのかすごく不安になってしまったみたいで」
―― ケガやヘルニアは克服したんですか?
小高「けっこう、だましだましみたいですけどね。1回ツアーやると、後半はガタが来ちゃう」
―― それは今も?
小高「今は、なるべく体に負担をかけないで、ちゃんと大きい音を鳴らすとか、そういう技術がついてきていると思うんですよね。そういう意味では、以前ほど、あそこが痛いとか、こっちが治ったら、あっちが痛いとか、そういうことは減っているようには見えるんだけど、言わないだけかもしれないんで、わからないんですよね」
合田「ただ、ライヴが終わった後にちゃんとケアはするようになったんで、大分マシにはなっているとは思いますけどね」
小高「100割で叩かないとかね」
合田「そうだね」
山下「うん? 100割?」
小高「100割ってすごいな(笑)。10割で叩かない」
合田「龍は全力の美学があったからね。思いっきり叩いてなんぼっていう。そうじゃないと自分が納得しない」
小高「いいライヴじゃなかったんじゃないかって不安になるんだよね。でも、それはわかる。俺も結局、声を潰すけんね」
―― その後、やめたいって気持ちはなくなったんですか?
小高「いや、やめたいって話は1年に1度ぐらい出てきましたね」
山下「本人も言っていたんですけど、迷っちゃうタイプなんですよ。割としっかり未来のことを考えて、現実と照らし合わせるって作業をやっちゃうのかな」
小高「俺が思うに自分はもっとイケるはずだって思うタイプなんだと思う」
合田「それは完全にね」
小高「だって、大学の法学部に入学した1ヵ月後に、俺、やっぱり人を救いたい、でも、法律じゃ人を救えないから医学部を受けなおすって言い出して、おまえ、アホか。しっかりせえって(笑)。そういうところもちょっとある」
合田「あったよね、そんなことも」
小高「けっこう思い込んだら周りが見えなくなる。繊細なようで、いや、繊細で、思慮深いんだけど、猪突猛進のところもある」
山下「おもろいね」
小高「引き金は体のことだったんだろうけど、そこから自分の人生を考えるようになった時に一生ドラムで飯を食っていくってことがピンと来なかったみたいで」
―― 3人はそういうのはなかったんですか?
小高「(しみじみと)なかったですね」
山下「大なり小なり迷いはあったとは思いますけど」
小高「でも、他に何かいろいろあったとしても、まず大本にバンドをやっていくってことがあったんでしょうね、俺達には。バンドがまずマストで……そこを龍は負い目に感じていっちゃったと思うんですよ。だから、一時期、ものすごく暗かったですね。ツアー中、機材車の中で一言も喋らないんですよ。それはけっこう苦しいですよね」
―― それは本人もきついし、周りもきつい。
小高「自分が空気を悪くしているって、自分で自分を責めてたと思うんですよ。その悪循環。負のループだったんです。それが2年前でしょ。で、去年、とうとうやめさせてくださいって言ってきて」
―― え、去年?
小高「去年の夏ぐらいに言われたんです」
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