[2009/12/10]
門田「リフレッシュはしないです。ずっと考える。俺はね、リフレッシュをしたらば、それが一日で終わらない人間なの。リフレッシュをしようとするじゃん。そうなると、その作業を中断するのが悔しくてたまらないの。だから今もアルバム用に曲を作っているんだけど、やっぱり言葉が出てこなくなるんだよね、メロディじゃなくて。言葉が出てこなくなったら、3日くらい作業が中断されるんだよね。メロディも出来てるし、構成もだいたい出来てるんだけど、言葉が出来てないと人に聴かせられないからね。やっぱり最初にキーとなる言葉が出てこないと、誰もイメージがわかないし。言葉が出てこないのが、一番息詰まるってことなんですよ。だけどそこで悩まないようにしてる、最近。書けなくなったら強引に書く。(言葉が)全然使えなかったら、結果的に使わないだけ。とにかく、“書けない、書けない”って思ってても絶対に書くようにしてて。今までは、書けないなと思ったら書かなかったんだよね。だけど、書けないから書かないっていうのは、なんか素人っぽいなと思って。やれないからやらないみたいな、そういう考え方がすごい嫌。書けない状況で書く! そうすると、書けない状況で書くポイントがどんどん溜まっていくと、抜けるんだよね。最近、それがすごくあって。ビーカーに“書けない”って思いながら書いた言葉がどんどん溜まっていって水かさを増して、それを超えた瞬間に、ちょっと前まででは考えられなかった言葉がボンボン出てきて。なんで俺はこんなネガティブな気持ちで書けない書けないって書いた言葉たちが、ポジティブな言葉になるんだろうってことが最近あったんだ」
―― なるほどね。そういう時の方が普段じゃ思いつかない言葉が浮かんだりするんですよね。
門田「そうだね。最近はそうだった」
―― カップリングの「この生温くうっとおしい心を」と「Music From Twilight」はどんなイメージで書いたんですか?
門田「「この生温く~」は今までGoodが絶対に歌わないようにって決めていたことを歌ってるんですよ。Goodの決まりみたいなのを自分の中で決めてて。韮と大地(4月に脱退したBa.韮沢、Dr.伊藤)の人間性とかもよくわかってるから、ネガティブな印象をうける曲を作るのはやめようと思ってたんですよ。特に「この生温く~」なんて、Cメロの歌詞で「丸くなったよ 駄目になったよ」っていう部分があるんだけど、それを韮と大地と楽しく演奏しても、説得力がない。そういった印象の詞は絶対作らないようにしようって自分の中で決めてやってたんだけど、2人になったことで、こういうことも歌えるなって。逆に俺と武瑠だけなら、このことを歌うとすごい説得力があるなっていう感じもあったね。そういった意味では色んな手錠をしているのね、Goodは。色んな手錠をしてて、その中の一つをはずしてみた感じ。「Born Again」も実はそういった意味では一つ手錠をはずした曲で、(曲が)速くてギターが歪んでてサビが高い曲は絶対やるのをやめようと思ってたの、この4年間」
―― うん。言われてみれば、今までそういった曲はないですね。
門田「なぜかと言うと、そんな音楽は世の中にいっぱいあるし、わざわざGoodがやる必要がないと思ってたんだよね。俺が歌う必要がないだろって。そういう曲ならもっと上手に作れる人はいるし。それに、武瑠はこういった曲も聴くけど、韮とか大地はこうやって速くてうるさい曲は聴かないから。あまり好きじゃない音楽を4人でやってもしょうがないし。だからそういった意味では、「Born Again」も「この生温く~」も、4人ではできなかった曲だと思う」
―― なるほど。3曲目の「Music From Twilight」は?
門田「これは“心中”について歌ってるの。サビの詞は「僕らは二人でひとつ 笑顔と笑顔で永遠に生きていこう 夢見る時間をいつまでも 愛を永遠に」。これは遺言みたいなもので、ある男の子と女の子が貯水池の底に身を投げるっていうお話なんだけど」
―― そういうことだったんだ……。
門田「曲中で「A very very funny dreams~」っておもしろい箇所があるじゃん。ここは断末魔というか、2人の人生の終わりに幕を下ろすピエロの声がする感じ。「人生はとってもおかしな夢だっただろ」って」
―― ちょうどここの部分って、メロディが愉快な感じですよね。
門田「そうそう! で、最後に「僕たちは理解できなかった 僕たちが犯した間違いを」ってコーラスでいれてるんだけれども、命を絶つってことはとても間違っていることだっていう風に自分たちはわかってて。で、それを理解することができなかったっていうことをわかるように、一番のサビではコーラスが入っていないんだけれども、2番のサビにはコーラスを入れてる」
―― ん~深いですね。
門田「って言われるだけど、そんなに自分の中では深くはないよ(笑)。でも、変な曲だなとは思ったでしょ?」
―― 思いました! この曲が良い意味で一番異色だった。異次元。
門田「そうそう。これは後付なんだけど、(このシングルは)夏の一日を歌ってる気がするんだよね。「Born Again」が朝、「この生温く~」が昼、「Music From Twilight」が夜。俺は、「Born Again」と「この生温く~」も夏っぽいなって思うんだけど、「Music From Twilight」もすごい夏っぽいなって思うんだよね」
―― 「Music From Twilight」は、夏の夜に吹く涼しい風が思い浮かびました。
門田「「Music From Twilight」はね、Wiiで『FRAGILE』っていうゲームがあって、それをよくやってたんだよね(笑)。もうね、その風景が頭から離れなくて! それは世界が滅亡した後の話で、廃墟の遊園地とか誰もいなくなった街を一人で冒険しながら、一人の女の子を探すっていうゲームなんだけど、そのゲームをよくやってたの、今年になって。で、「Music From Twilight」のイントロが出てきた瞬間に、その風景がバッって心の中に浮かんで、それ以外の風景が出てこなかったの(笑)。それを自分なりに雰囲気を変えて、心中の話にした」
―― 内田さんは最初にこの話を聞いた時、どう思いました?
内田「その話は、この前のインタビューで初めて知ったんですよ」
―― えっ?! そうなんですか?
内田「(門田は)あまりそういう事を話さないんですよ。「Born Again」っていうタイトルも、レコーディングが終わって気付いたらついてたんですよ。みんなが「Born Again」って言ってるから、スピーカーの話でもしてるのかなって思ってたら曲の話で(笑)。だから詞も、レコーディングをしている時に歌詞カードを見たりはしますけど、そんなに詞のことについてとか曲の感じとかっていうのを話さないんですね。もう、聴いたものに対して、自分のイメージを持つしかないんで。でもそれで(イメージが)大きく違ったりっていうことはないので、困ることはないんですけどね。僕はビラのデザインを作ったりしているので、そういう門田のイメージをリンクさせたいなっていうのもあって、インタビュー中の門田の話を“そうなんだ~”って聞いてるんですよ(笑)。まぁ僕的には、「この生温く~」と「Music From Twilight」は「Born Again」の残りかすみたいな感じなんですよ。悪い意味じゃなくて……おからです、おから! おからだと思ってください(笑)」
―― わかりにくいな(笑)。
内田「おからって大豆のしぼりかすだけど、おいしくてヘルシーじゃないですか。だから、おからだな~と思って(笑)。「Music From Twilight」の廃墟の遊園地っていうのも全部、「Born Again」があることによって、同じ世界なんだけど違う時間軸で見せてるっていうものだと思うんですよね」
―― なるほどね。毎回曲の説明とかしないんだ。
門田「しないしない。あのね、14歳とか15歳の時はよくしてたの。詞を作ったら、この詞はこういう意味でさってよく話してたんだけど、そうすると魔法が解けるんだよね、自分の中で。メンバーにその話をすると、いつもそこを見なきゃいけなくなるの、強引に。それが嫌なんだよね」
内田「高校生の時は、ミスタードーナツでそういう話をよくしてたの。お店の中で流れてる音楽が頭から離れないくらいいた。だから、学校にいてもそれが頭に流れてた(一同笑)。そういうのがあったから、今はそんなにないよね」
門田「そう。だから多分、武瑠じゃなかったら説明すると思いますよ。現風景を一緒に見てきてるからこそ話さないこともあるし。あとね、詞に対する解釈は、今こう話してて矛盾するようだけど、もう俺は人それぞれで良いと思ってるから。「Music From Twilight」は心中の歌として作ったけど、ファンタジーでメルヘンな素敵な曲だなって思ってくれる人がいたら、全然それで良いし。「この生温く~」も作った後にシリアスだなって思ったんだけど、爽やかな曲だなって思ってくれたらそれはそれで良いし」
―― シリアスだなって、あんまり思わなかったな。
門田「うんうん。詞は、“こういう意味で書いたからこう聴いて”っていうのは一切ない。人それぞれで良いと思う。曲を作っててよく思うのが、詞をつけることによってメロディが持ってた意味を隠してしまうことが多い。言葉をつけてしまうと、そのメロディの時に浮かんでいた色んな部分が、その言葉に塗られてしまうんだよね。だから、自分の中でもすごく萎える時があるの。曲を作ってる時に、素敵なメロディが浮かんで、それがすごく切なくて楽しくて夢を見せてくれるメロディだったのに、それに言葉がのることによって、チープなメロディになってしまうというか。そういうのもあるよね、音楽は」
内田「例えば、「Born Again」の歌詞が“常夏の焦げつく君の肌”だったら、風景が違うと思う。春だったら“桜”って言葉をつけたりしてね。そういう、言葉の使い方はセンスだから。門田はセンスが良いなって思いますよ。難しいですけどね」
門田「うん、難しいよね。本当」
内田「「Born Again」はそういう意味でも練ったので、歌詞も難しかったんですよ。門田が噛み砕いてね」
門田「詞の好みでいったら、「Born Again」みたいな曲はそんなに自分の好きなタイプの詞ではないんですよ。好き嫌いで言ったらば。だけど、一番みんなと俺たちが共有しやすい風景を見つけたというか。今回、そこを探す作業をしたな。「Music From Twilight」は、思いつきと発想のアイデアで全てが完結したけれど。「Born Again」みたいな作業をするのはすごく難しかった。どうすれば(詞の内容が)わかるかなってことは考えないし、感情の赴くままで音楽をやってきてるから、「この生温く~」も「Music From Twilight」もポンと出てきたものなんだけどね」
―― なるほど。じゃあ最後に、今後Goodがどんな風に成長していきたいかを教えてください。
門田「すごく変な例え方をすると、ご飯のバンドがあってパスタのバンドがあってパンのバンドがあったとする。でもGoodは、ご飯とパスタとパンを全部混ぜてミックスさせて、それをおいしいものにしたい! それがまずいものじゃなくて、“おいしいな”って思える、そういうバンドになるのが一番良いなって思う」
―― うんうん。なるほどね。わかりやすい、その例え!
門田「本当?」
―― はい。だって、その3つが混ざったら、普通に考えたらまずいですよ(笑)。
門田「うん、まずいよね! それを絶対おいしくできると思うんだよね、Goodは」
―― じゃあ、内田さんは?
内田「……“おから”みたいなバンドで(一同笑)。体に良いではないけど、何も無理しないでやりたいなっていう、僕の願望。聴く人が普段生活する中で、ふとそこにある音楽でいたいな。特別なものでもなく、スッとそこにある自然な感じでいられたら良いなって思いますね」
インタビュー:天明 美里
(関連リンク)
(リリース情報)

TBCD-1987
『Born Again』
【価格】1,050円(税込)
【収録曲】
1. Born Again
2. この生温くうっとおしい心を
3. Music From Twilight
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