[2010/02/15]
1995年に本人のバンド募集の張り紙をきっかけに 「スーパーカー」を結成。約10年の活動を経て、2005年に解散。2006年に1stソロアルバム『Mirrors』をリリースし、本格的にソロ活動を開始したフルカワミキが、待望の3rdアルバム『Very』をリリースする。今回のアルバムは今までよりも打ち込み音が強く、フルカワミキにしか創り出せない、ロックな生バンドサウンドと打ち込みの融合が楽しめる1枚に仕上がっている。『Very』の中に詰め込んだ、彼女の想いとは? フルカワミキとはどんなアーティストで、どんなことを頭の中で描いているのか。彼女の魅力がこのロングインタビューで、少しでも沢山の人に伝わったら嬉しいです。
―― いよいよ3rdアルバム『Very』がリリースされますが、けっこう時間があきましたね。
「そうですね。1年10ヶ月ぶりくらいですね」
―― このアルバムはどんなイメージで制作されたんですか?
「ソロデビューをした後の2作目(『Bondage Heart』)は早く出したかったっていうのもあって、制作期間を考えてバンドサウンドでっていう風に、方向性をある程度絞ってたんですけど、今回は3枚目を作る前に、もっとにぎやかな感じにしようと思ったんです。バンド時代から培っているものっていうのは、生バンドサウンドっていうのはもちろんのことですけど、ふつうに音楽の志向でいっても、打ち込みの音も好きだし、踊れるものだったりとか、そういうものが散りばめられているような内容にしたいなっていうのはあって。なので、そういうことを漠然と思い浮かべながら制作していきました」
―― ミキさんの作る打ち込みって、普段打ち込みを聴いていない人にもすんなり受け入れられるというか、聴きやすいサウンドなんですよね。打ち込みだけじゃなくてバンドサウンドも入ってるから、すんなり入ってきたんです。
「ありがとうございます! バンドの形態だと4~5人で簡潔出来るサウンドっていうのも、もちろん昔からいっぱいあるんですけど、世界とか環境を見たら、もうこのご時世テクノロジーも進化しているから、打ち込みの音も楽器のひとつなんですよね。レコーディング形態に縛られないで自由にできるのもソロで活動する醍醐味でもあると思うし。バンドの中で取り入れてやっていく人たちっていうのも、ジャンルを超えていたりするし、聴き手の人たちも、バンドの音も好きだし、歌謡曲も好きだし、テクノも聴くし踊りに行くしっていう、音楽の共有だったり選択肢っていうのが広がってる時代で。すぐ聴こうと思えばキャッチも出来る時代なので、意外にジャンル分けみたいなところも、すればあるけど、けっこう(ジャンルを)飛び越えて聴く人って増えたなって思いますね」
―― ミキさんのおっしゃる通り、最近ロックバンドで打ち込みを取り入れたサウンドっていうのは多くなりましたよね。昔は、バンドと打ち込みって離れてましたけど。
「離れてましたね。曲の作り方も違うし、機材も違ったりするんで考え方も違うというか。そういう部分でもハッキリ分かれてましたね」
―― ミキさんは、どんな曲作りの仕方をしています?
「ギターから作るのもあるし、ベースとかシンセから作るのもあるかな。デモはだいたい家で作ってるんですけど、シンセの音を出してこの音を使いたいなって思いながら作ったりとか、リズムトラックから作る場合もあるし、メロが先に浮かんで、それに音響をつけたりっていうのもあって。基本、踊らせる曲を作りたいなって思った時はリズムトラックから作っていくことが多いですけど、(作り方は)けっこう色々ありますね。ギターから作ってる曲は、ベーシックは意外と生音で簡潔するようなサウンドになってます」
―― なるほど。歌詞は、面白いなって思うフレーズがあったり、“わかる、わかる!”って共感するフレーズがあったりと、様々な世界観を感じたんですけど、いつもどんな時に歌詞を書いているんですか?
「歌詞はオケを作り終わった後にのせていくんです。で、仮タイトルは歌詞をつけてなくてもつけているんですけど、例えば「Make Up」とか「Amore」は仮歌の段階で出てきたフレーズから広げて、お話とか世界観を作るように言葉をはめていく仕方をするんです。どんな時に書くんだろう……そういう気分の時に書くんでしょうね(笑)」
―― あはははは! 「New Days」はポジティブな内容の歌詞ですよね。
「そうですね。このアルバムを作り始めてから最後の方に書き足した曲なんですけど、レーベル移籍もしたし、また新たに新しいチームでやるぞー! って、そういう明るい雰囲気を出したいなって思って作った曲です」
―― なるほど。「Ice Way」はリズムだったり曲調が可愛らしい曲ですね。曲中に出てくる「♪タタタタタタ」とか(笑)。
「あははは、ちょっとおかしな曲にしたかったんですよ(笑)。フルカワミキだから出来るようなちょっとヘンテコさだったりとか、音の組み合わせとかフレーズの組み合わせっていうものを面白くしてみようと思って作った曲です」
―― 「Ice Way」の他にも、音と言葉で遊んでいるなって思う曲が多かったんですよ。
「歌詞はあえて表記していないのもあるし、逆に、前のアルバムでは女の子ならではの世界観に仕様と思った曲には、わざとちょっとぶりっ子して星マークを入れたりしましたね(笑)。ノリがわかればいいかなっていう感じで表記しています」
―― 収録されている曲たちって、いつ頃作ったんですか?
「『Bondage Heart』(2nd. Album)を出した年の秋口には(曲を)作り始めてましたね」
―― じゃあ、けっこう温めてた曲たちなんですね。
「そうですね。色々あって、レコーディング作業をストップさせなきゃいけなかったので、2009年辺りは(レコーディングを)中断して、途中から再開して現在に至るって感じなんです」
―― 3曲目の「サイハテ」は動画サイトで人気が出て話題になった楽曲ですが、この曲をカヴァーしようとなったきっかけっていうのは何だったんですか?
「移籍をして、新たな再スタートなので、2008年の作業からずっとスタジオでアルバム制作をしていたんですけど、その間に移籍があってスタジオレコーディングが止まってたっていうのもあるんですけど、新しいレーベルに変わるっていう再スタートっていう感じなので、ちょっとこれまでの流れを一回ストップして、新しい刺激だったり空気を入れたいなっていうのもあったんです。だから、曲も新たに作ろうっていう(方向に)なってたんですけど、その間に映画を観たり音楽を聴くような感覚で動画サイトを見ていて。で、知り合いと情報交換をしている時に、動画サイトでVOCALOID(歌声合成ソフト)を使ったすごい面白いクオリティーのものがあるって話を聞いて、見てた時にこの曲があったんですよ。単純に良い曲だなって思ったし、人が歌ってる感覚を想像できたというか。VOCALOIDが歌うことで成立する曲もあるんですけど、これは人が歌うっていうのが想像できたんです。関連動画で“「サイハテ」を歌ってみた”っていうのもあって(笑)。これは、人に歌われたがっているような楽曲に聴こえたんです。尚且つ、自分がやってきた音楽にも近いにおいを感じたっていうのもあったんですけど。それでちょっと気になるなって思ってコンタクトをとって、“もし興味があったらカヴァーさせて頂けませんか。もし私のことを知っていてたら、一緒に何かやりませんか?”ってお話したんです。そしたら向こうも知っててくれて、尚且つ、自分が近いなって思った感覚通り、私のやってきた音楽を知っててくれて。その曲を作る参考にもしててくれたみたいなんで、すごい良いかたちの両思いで(笑)。だったら、残す意味があるなって思ったんです。タイミングがすごい兼ね合ったんですよね」
―― なるほど。私はミキさんから「サイハテ」の存在を知ったんですけど、「サイハテ」を知っててフルカワミキを知らないっていう人は、カヴァーによって逆にフルカワミキの存在を知りますよね。
「そうですよね! 私を知らなくても、動画とかVOCALOIDカルチャーが好きな人も、知るきっかけになってくれたと思いますし、VOCALOIDのカルチャーを知らない人も知るきっかけになりますよね。そういう繋がりは面白いなっていうのも思いました」
―― はい。私は完全に後者ですもん(笑)。今って本当、色んなものがありますよね。
「ありますね。あのカルチャーは面白いです」
―― 今もけっこう動画サイトを見ます?
「見ますね! どんな顔なのか、どんな職業をしているのかもわからない。引っかかったもん勝ちというか、その人がどんな人であろうと、その動画が面白ければ再生数も上がる。凝ったもん勝ちですよね。普段は全然違う職業をやってるけど、家でコツコツ時間をかけて愛情を注いだものを世にポンって出すじゃないですか。これって、コミュニケーションツールのひとつだと思うんですよ。ネタを提供して、それに対して色んな人たちが反応する。さっきの話みたいに“「サイハテ」を歌ってみた”っていう関連動画があったり(笑)、影響し合って更に広がっていくような、現代のコミュニケーションの形って面白いなって思います」
―― そうですよね(笑)。みんなパソコンで作ってるから、曲もすごい凝ってるし。だから、本当面白いですよね。
「凝ってますねぇ。あと、あれは映像を同時に流せるものだから、映像を凝ってる人たちもいるし」
―― すごいですね。私は全然出来ません(笑)。
「私もVOCALOIDをいじることは出来ないので(笑)。テクニックも楽器と同じように、人によって使い方が全然違ったりしますからね。もう一昔前にあった言葉のオタクっていう言葉で片付けるのは古いと思うし、その枠を超えているので、立派なカルチャーだなって思います。職人さんと一緒ですよね」
―― 「サイハテ」のアレンジとかレコーディングで、気をつけたことってあります?
「人が歌うには、そのままだと速いテンポだったので違和感がない程度に下げてもらって、オケは作り直させてもらったんですけど、基本はあんまり印象が変わらないようにしたいなっていうのと、歌詞の世界観とメロディーのポップ感のコントラストが美しいなって思ったので、その曲の良さを消さないように出来たないいなって思って、そこだけ考えてやりました」
―― 14曲の中で一番印象に残ってる楽曲ってどれですか?
「最初の方に録ったのが「金魚」で。これは、みんなで歌って踊ってほしいなっていう想いが、より強い曲だったりするんです。バカ騒ぎしてほしいな、みたいな(笑)。できれば、(新宿)2丁目にいるお姉たちにも、ノリノリで合いの手を入れて歌ってほしいぐらいの、突き抜け感みたいなのを思い浮かべて作りました(笑)。意外と私の曲って、みんなで歌いたいってなった時にカラオケで歌うには難しいような曲が多かったんで、「金魚」みたいな曲だったら、一緒に歌って踊ってっていう楽しみ方が、このアルバムの中で一番出来るのかなって思います」
―― 一番最近作った曲は、どの曲になるんですか?
「「New Days」と「Come Now」は比較的最近の、後半に出来た曲ですね。打ち込み色を強める感じで作りました」
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